第22章 迷い。
え…?
閉める?
この場の全員がすぐに理解出来ず言葉を失った。
かよこ「旦那の腫瘍は悪性で、今回の手術で一応取り除く事は出来たけど、今後要経過観察になってね。
まだ50代前半だし再発したらあっという間に転移して手遅れになる可能性があるから…。
今は退院して少しずつ仕事もしてるけど、やっぱり心配じゃない…?」
あやか「・・じゃあ旦那さんのところに?」
かよこさんは頷いた。
かよこ「旦那は笑いながら平気だって言うけどね、、でも私にとってはたった1人の家族だし。やっぱり側にあげたくて。
勝手な事を言って本当にごめんなさい。」
かよこさんはテーブルに手をつき、頭を下げる。
きっとかよこさんだって悩んで悩んで出した苦渋の結論なんだろう。
それはここにいる皆んなもよく分かっている。
そして最初に口を開いたのは倫太郎君だった。
倫太郎「・・俺は4月からは寮に入りますよ。バレー部でこんだけ結果残してるから優先的に入れるし。大丈夫っすよ。」
倫太郎君が柔らかく微笑むと、かよこさんは目を潤ませた。
あやか「私はもう卒業やし!全然問題ないで?ここが無くなるのは寂しいけど、別にみんなと一生会えなくなるワケちゃうし!なっ?そうやろ?」
あやかさんの明るい笑顔に、倫太郎君や治君も頷いた。
かよこ「倫太郎、あやかも、、ありがとう。」
治「短い間やったけど、俺らは家に逆戻りやな?ツム。」
侑「・・・・」
何かを考え込んでいた様子の侑君が口を開いた。
侑「・・・ともみちゃんは?どないなるん?」
「え?私⁇わ、私は…」
寮に入る、と言おうとした時、
かよこ「ともみが良ければ一緒に行かない?イタリアに。」