第3章 下宿生活。
カチャカチャ
キッチンから音が聞こえた。
ソファにはすでにともみの姿はなく、
「おかえりなさい。」
キッチンのカウンター越しから眼鏡を掛けたいつも通りのともみと目が合った。
倫太郎「・・・ただいま。・・・遅くなってごめん。」
少し気まずさを感じながら答えた。
長い前髪の間からチラッと眼鏡が光る。
「いえ。遅くまでお疲れ様でした。今温めて
ますので座っててください。」
倫太郎「・・・ありがと。」
ソファに座り、とりあえずテレビを付けた。
観る気なんてさらさらないが無音よりは良い。
横目でチラッとカウンターの中へ視線を向けると、相変わらず無表情で淡々と支度をしている。
でもなんだか少し優越感を感じていた。
ともみのあんな無防備な姿を見れて、実はめちゃくちゃ美人とか。
思わず口元が緩む。
他のやつには見せたくないし、知られたくない。
俺はふつふつと独占欲のようなものが湧きあがってくるのを感じていた。