第8章 それぞれの想い。
じゃれ合う2人から目を背けるように、私はキッチへ行き、食器棚からケーキ用の取り皿を出す。
カウンターの向こうからは楽しそうな声が聞こえてくる。
・・・・。
他に用なんてないのに、もう少し静かなキッチンに居たいと思ってしまう。
すると、戻って来ない私を心配してか、カウンターから倫太郎君が顔を覗かせた。
倫太郎「#NANE 1#、大丈夫?」
私は慌ててお皿を持ち、返事をするとキッチンを出た。
倫太郎君と目が合うと、何か言いたげな顔をしていたが、すでにかよこさんがロウソクに火をつけ始めていたので、私達はそのまま黙って椅子に座った。
火を消すタイミングでまた侑君と治君が揉めたりもしたが、ケーキは綺麗に完食。
ケーキを食べた蓮さんはコーヒーを手にトボトボと2階へ上がって行った。
みんなが喜んで食べてくれて良かった。と、すっかり空になったお皿を片付ける。
だけど、、胸の奥のモヤモヤする。
"そういう仲"
蓮さんが言った言葉が頭から離れない。