満月の夜に【鬼滅の刃 煉獄杏寿郎 宇髄天元 R18】
第19章 宇髄先生とわたし –記憶と悲恋ー中編
加速したわたしの宇髄先生への想いを、すぐに伝えようと意を決したが、宇髄先生は文化祭が終わってから急に忙しくなってしまった。
というのは、文化祭が終わり秋が深まると、上級生の受験色が強くなる。先生方は受験に応じた指導や補修や、進路相談など、やるべきことがかなり多そうだった。
宇髄先生も、美大受験の受験生に対しての絵画やデッサンの指導を、放課後はもちろん朝の空いてる時間まで、受験生と共に美術室に籠るようになってしまった。
当然、波奈との時間は短くなり、話すことは要件のみになってしまっていた。
波奈は当然、宇髄先生不足の毎日である。
放課後、
美術準備室のドアを半ば諦めてノックする。
「…失礼します」と部屋を覗き込んだ。
「おー、どした?」
珍しく机に向かっている宇髄先生が、ぐるんとドアの波奈を見て言った。
「先生今日は指導はいいんですか?」
「今日は受験生は面談、よって俺は休み〜」
とガムを噛みながら答えた。
「で?なんか用事?」
「あの、えと…」
用事がないと会えない人である。先生というのは。
「…少し、話したいと思いまして。
…だめでしょうか?」
顔を赤くしながら言うと、宇髄先生は一瞬驚いた顔になるが、すぐに口角をあげた。
「コーヒーいれるわ、座って」
持っていたプリントを机に置いて、宇髄先生は立ち上がった。