【MARVEL】This is my selfishness
第4章 4th
下唇を突き出すように口角を下げて自分を示してみるとミアはケラケラと笑った。
『バッキーが怪しい奴??どこら辺が?』
「常に手袋してて、左腕が義手」
『それで?』
「…目つきが悪い」
『自分で言う?それにそんなに目付き悪くないよ?』
『いつも微笑んでる気がするけど』と笑われて気付いた。
女相手という事もあって最初から笑顔を心がけてはいたが、そんな心掛けをしなくてもいいくらい、ミアが相手だと自然と口角が上がる。
知らず知らずの内に笑っているのだ。
「…君相手だからだ」
『??わたしそんな面白いことしたっけな……あ、それと左腕の義手も手袋も怪しくないよ。それも全部バッキーだもの』
『ね?』と満面の笑みで首を傾ける仕草が可愛く見えた。言ってる事に関しては疑問だが。
『ちょっと目つき悪くしてみて?』
思いついたように言うミアに本来のいつもの顔をしてみる。
『ムッてしてる』
……えらく可愛らしく言われたものだ。
「君には敵わないな」
『わたし知らない内にバッキーに勝った?』
ムッてしたバッキーの目つきは普段見ることがない険しい感じではあったけど、特に怖いとかはなかった。わたしがしてって言ったからしただけだからかな。知らない人とかだと怖かったかも?
ひゅう、と少し強く風が吹いた。
心地良さよりも少し寒く感じる風。
ブランケットにしっかり包まって、おしりに敷いていたクッションの位置を整え、寝転んでみた。
仰向けで空を見上げると周辺の建物に遮られた星空が目に入る。
『寝転んだ方が見やすいよ』
寝転びやすいように魔法瓶やクッキーを端にどけて、自分の隣をポンポンと示す。
バッキーは膝に置いていたクッションをわたしと同じように位置を調整すると寝転んだ。
座ってる体勢より寝転んでる方が寒いかも、と思い、自分だけが包まっていたブランケットをバッキーにも掛けた。
『…もうちょっと近づいてもらってもいい?』
「ああ、」
肩が当たるか当たらないかの距離。
少し当たったバッキーのジャケットはやっぱり冷えていた。