【MARVEL】This is my selfishness
第12章 10th
「Hi.」
『Hi!上がって』
扉を大きく開けると、バッキーは花束を持っていて、それをわたしへ手渡してきた。
そういえば前も花束を持ってきてくれたな…『ありがとう』と伝え受け取る。
「なんか慌ててた?」
『あー…』
ドタバタしていた音が聞こえていたかな…
隠したところで生活感がもろ分かりな、しっかりと片付けれなかった部屋に入ってもらったあとでは意味が無い。
『寝坊しちゃって…実は30分前に起きたの…』
へへ、と恥ずかしいのを誤魔化すように笑うと、バッキーは「残念だ」と言った。
「あと少しで寝起きの君が見れたのに」
肩をすくめるようにしてお茶目に続けられた言葉に一瞬固まる。
そしてすぐにハッとなり言い返す。
『もう何回も見てるじゃん…!』
そう、彼にはすでに何回も寝起きを見られている。なんなら寝顔だって見られてる。
でも言った後に『あれ?突っ込むのってそこで合ってる?』と自問自答した。
『ごめん、部屋も片付けれてなくて……』
「気にするほど散らかってないだろ?」
『バッキーの部屋に比べたらごちゃついてるの』
「俺の部屋は最低限しかないからな」
「ベッドもない」と笑うバッキーに『ベッドは置いた方がいいんじゃないかな』と苦笑した。
『それでね、まだ買い物にも行けてないから飲み物もコーヒーとか紅茶しかなくて。クッキーとかお菓子は少しあるんだけど……』
「俺は構わない。ピザ食べたあと考えるか?」
おもてなしとしては確実に不十分だけど……今から買いに行ってご飯を先延ばしにするよりは今からピザを注文してお腹を満たしてから買い物に行ってもいいかもしれない。
彼の言葉に甘えて、先にピザを注文することにした。
ピザを注文して待ってる間にコーヒーを淹れて、ドラマをつける。
『バッキーは普段からドラマ観る?』
「観てないな。テレビをつけてもつけてるだけだ」
『なんで観ないのにつけるの?』
聞いてから、しまった、と思った。彼の顔に少し寂しそうな影が差したから。
「何も音がないと頭の中で同じことをずっと考えてしまうんだ。かと言って観てても共感出来なくて興味が湧かない」