【MARVEL】This is my selfishness
第11章 小話2
営業中はお客さんが「トリックオアトリート」といえばお菓子を渡すという大人でも子供心を思い出すようなサービスもした。
お客さんもキャストさんたちの仮装が可愛いことや店内の飾り付けにウキウキとした楽しそうな表情を浮かべていた。
ロンさんはこういうイベント事が大好きだから、わたしもスタッフ側だけど毎回楽しみだ。
しかも今回からはバスの時間も気にしなくていい。途中で帰ることに申し訳なさも寂しさも感じなくて済む。
そして今日は特別に、0時でお店を閉めてその後はスタッフたちだけでパーティーをしようということになっている。
ルドルフさんがもう1人のシェフと一緒にそのパーティー用に料理を準備してくれてるらしい。それもすごく楽しみ!
「じゃあ、従業員たちだけでパーティー始めましょっか!」
お客さんが帰ってからそれぞれのテーブルを集めて、料理を並べる。
重たいテーブルもバッキーがほとんど全部動かしてくれた。
それぞれお酒を手に、ロンさんの音頭で「Happy Halloween!!」と乾杯する。
『ん、美味しいよ』
隣にいたアレックスに作ってもらった甘いカクテルの感想を伝える。練習がてら、とロンさんではなくアレックスが作ってくれた。
アレックスは照れたように「口にあってよかった」と笑った。
そのまま「写真撮ろうよ!」と言われ、アレックスが向けるカメラに2人並んで写る。
そういえば一緒に遊びに行くこともしてないから、こんな風に撮ることは初めてだなあ、と思う。
あれ?そういえばわたしもバッキーとどこか行ったとしても写真撮ろう!ってなることなかったな…?もしかしてわたし、すごくもったいないことをしたのでは……。
アレックスはそのままバッキーにも写真撮っていいか聞いていたけれど、ばっさりと断られていた。
……撮られたくないのかぁ……。あとで一緒に写真撮ってくれないかな、と考えていたからその返事に1人しょぼんとした。
しかしちょうどケリーさんも「使い魔ちゃん、私とも写真撮りましょ」と声を掛けてきてくれたので、切り替えて今度はケリーさんと並ぶ。