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【MARVEL】This is my selfishness

第10章 9th



壁ドンの話をすると、ケリーさんはニマニマと隠しきれない笑みをこぼし始めた。


「ん〜〜すごく良いじゃない。そういうのを聞きたかったのよ。それは確かに私への連絡なんて忘れちゃうわね」

『ほんとにそのことに関しては申し訳ないとしか言いようがないです…』


申し訳なさに顔が見れず、両手で覆い隠すと「冗談よ」と鈴が転がるように軽やかな声で言って、わたしの両手を顔面から引き剥がした。


「それにしても自分の気持ちに気づくの、遅すぎない?」

『うっ、…多分、気付かないようにしてたんだと、、思います…』

「あら、なんで?」

『……今までこういうことを経験したことないというか…いや、これは言い訳…ですかね?』


バッキーは女性に優しいから、紳士的だから、だからわたしだけじゃないから自惚れないようにだとか、自分は男性経験がないからだとか。
いろんな理由をつけてるけれど、要は​─────


『…傷つきたく無かったから、ですかね』


言葉にすると、口に出してしまうとストン、と心に落ちる。

そう、わたしは傷つきたくなかったんだと思う。
もしこの気持ちに気付いてしまったら。好きな人が自分じゃない女の人と楽しそうに話していたら。自分が見た事ない表情を見せていたら。自分よりも大事に扱われているのを見てしまったら。
そんなふうに考えるだけで胸がキリキリと痛む。
でも【好き】という感情に蓋をして隠してしまって、【友達を取られた気持ち】に替えてしまえば、傷つき具合いが違う。モヤっとした、で済ませれる。


失恋したくないし、今の関係を壊したくないし、自分の気持ちに悲しい終わりをつけたくない。

……我儘だ。



「…そうよね。傷つきたくは無いものね」

よしよし、とケリーさんが頭を撫で、頬を撫でてくれる。

「考えただけで涙目になってしまうほど好きなのね」

『……そうみたいです』


じわりと視界が潤むのを感じていたけど、やはり見てわかるほどだったらしい。





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