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【MARVEL】This is my selfishness

第10章 9th



今から追加して連絡してもいいもの?
今からまた会うだろうに…いや、これで後回しにしてまた同じことを繰り返すよりは今しておこう。


すぐにスマホに名刺に書かれた連絡先を追加してメッセージを送る。


〈遅くなってすみません、追加させてもらいました!よろしくお願いします〉


よし、と画面を閉じて支度を再開する。

出勤してからまた改めて謝ろう。













そろそろ出よう、というところでスマホが着信を告げる。
画面を見ると、ケリーさんからの返信ではなくバッキーの名前が映し出されていた。


『Hi?』

〈Hi.そろそろ仕事に行く時間かと思って〉

『すごい、ぴったりだよ』


話しながらバッグを肩にかけて靴を履き、外に出るとすぐそこにわたしと同じように電話を耳に当てたバッキーが立っていた。


「一緒に行こう」

そう言って彼はいつも通りに笑う。あの優しい笑顔で。
わたしはというと、電話では普通に話せていたはずなのに、顔を見た途端、立っている場所のこともあって、壁ドンのことを思い出して一気に冷静じゃなくなる。

『う、うん、あ、今日も警備員さん、?』

「ああ」


ワタワタとそのまま階段を降りようと足を進めたところで、「鍵」とバッキーがわたしの玄関扉を指さし、慌てて鍵を取りだして施錠する。
施錠を見守ったバッキーからGOサインが出て改めて今度こそ階段へと足を進める。


「体は大丈夫そうか?」

『あ、うん、直前までゆっくりしてたから大丈夫だと思う。ダラダラしすぎて気だるさはあるけど』

「そうか」


…本当にバッキーは何事も無かったかのような振る舞いだ。
意識しているのはわたしだけ。それをありありと見せつけられるような。
いや、バッキーは今までもそうだった。思えば最初から。
バッキーは女性に優しい紳士的な人なんだと思った。
わたしに優しいのもわたしが女性で隣人だからで、【わたしだから】優しいのではないことにモヤッとして八つ当たりみたいな態度をとったことだってある。
なぜあの時に自分の気持ちに気付かなかったのか。無意識に気付かないふりをしていたのかもしれないけど。
女性だから、ではなく【わたしだから】ととれるような発言を聞いて喜んだあの時だって。



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