第5章 絶望
「………リヴァイさん、今日は………よく喋りますね………。」
ナナがほんの少し口角をあげ、ポツリと呟いた。
ナナにそう言われて自分でも驚いた。
なぜかはわからない。ナナの悲痛な表情を見ていると、次から次に言葉が溢れた。まるで、沈黙を恐れているかのように。
俺は自身のカップを持ち上げ、紅茶をすすった。
「……バカ言え。俺は元々結構喋る。」
ナナがようやく視線を上げ、視線が交わった。
「………ありがとうございます。」
「あ?」
「リヴァイさんの優しさは………本当にわかりづらい。」
ナナは、柔らかく笑った。
「………とにかく俺は、お前の調査兵団入団は阻止する。」
「帰るところも、ありません。」
「なに?」
ナナは再び目線を逸らして話を続けた。
「ご存じのとおり、お世話になっていた医院にはもう帰れる状態ではありませんし……オーウェンズ家からも出ました。」
「お前……。」
「調査兵団に入れないなら……そうですね。地下街で……ワーナーさんの元で、病気の人たちの役に立てるような生き方もいいかもしれません………。」
俺は躊躇した。
だが、今隠したところで何の解決にもならない。
ナナが再び傷つくのを承知で、言葉を続ける。