第4章 あ~あ…俺何かに捕まって可哀想に♡
「あーもー泣くなよ、言い過ぎた、悪かったって…」
「っ、ふ、ぅ…ぐすっ…」
「栞、さん…?の言いたい事は分かった。まぁもしかすると、あながち嘘でもねぇかもな…」
「えっ…」
「俺、最初に聞いたろ?なんで女の子が一人でいんのって…」
「はい…」
「隠れてた所を見るに、さっきまで男に追い掛けられてたとか、そういう感じだろ?」
「はい…」
「栞さんの世界がどうか知らねぇけど、ここの世界は男女比率が男9に対して女1なんだよ」
「はっ…?」
驚いたように目を丸くさせた栞に対し、やっぱり何も知らなかったのかと納得した。ただ分かった事は、しっかりしていそうなのにこの世界の常識を知らない少しばかり抜けた可愛らしい女の子。と言った所だろうか…そんな彼女に俺、この子が欲しいと強く感じる。きっと彼女こそが俺の運命だと柄にもなくそう思った。なるべく圧を掛けないように、ゆっくりとした動作で立ち上がった俺は、栞へと手を差し出して見せた。
「ん。ほら、行くぞ」
「えっ、どこに…?」
「行く所ねぇんだろ…俺と一緒に来るか、ここで他の男共に輪姦されるか、今直ぐどちらか選べよ」
「究極の2択しかなくて、泣きそうなんですが…」
「俺そこまで気は長ぇ方じゃねぇんだよ、ほら…早くしろ。そうじゃねぇとそのまま放って行くぞ?」
そう建前で言って見ても、俺はきっと栞を放って置く事は出来ないだろう。どんな卑劣な手を使い脅してでもこの儚げで美しい女の子を俺だけのものにしたかったからだ。ただ…その心配は杞憂に終わった。俺の腕にぎゅっとしがみついた栞が余りにも可哀想で可愛くて、歪に口角が釣り上がってしまう。それを見てまた顔色を悪くする栞に“あ~あ、俺何かに捕まって可哀想に♡”と手を引いて歩き始めた。