第6章 東京卍リベンジャーズ・龍宮寺堅
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学校で会うと
彼女はいつも明るく挨拶をしてきた
『龍宮寺先輩♪おはようございます』
「…今日も遅刻か織月レイナ…もう次給食じゃねーか」
俺は
何故か彼女のことをフルネームで呼んでいた
『エヘヘ』
「ダブっても知らねーぞ」
『はーい。気を付けまーす』
ペコリとお辞儀をして廊下を走って行こうとした彼女が
思い出したように足を止めて振り返る
『先輩〜今度デートしてください』
「おー…そのうちな」
別れ際のそのやり取りが
いつからかお決まりのようになっていた
俺は元々
同じ学校の女と親しく話をしたりするタイプではなかった
なのに
気付いたら彼女とだけは
そんな軽口混じりの挨拶を交わす仲になっていた
俺だけに見せる無邪気な笑顔に
いつの間にか心を許していたのかも知れない
「……へんな奴…」
後ろ姿を見送りながら、ひとり言のように呟いた俺に
隠れて見ていたマイキーがニヤニヤしながら近付いてくる
「今日も元気そーだな…オマエの親衛隊長」
「……別にそんなんじゃねーよ……てかマイキー…何で急に隠れたんだよ」
「…だって……あの子…オレが居ると何も喋らなくなるじゃん…」
「…あー……"天下の佐野先輩"の前に出ると緊張しちまうんだと…」
「……クスクス………ガッチガチに固まっちゃうもんね………オレ…女の子には優しーのにな〜…………あーあ……オレもかわいい後輩と仲良くしてぇ…」
「……よく言うよ……マイキーのがよっぽど後輩にキャーキャー言われてるだろ…」
「…オレはあの子と仲良くしてーの!……てかケンチンはオレのモンなんだから…ケンチンと仲良くするならオレとも仲良くするのがフツーだろ?…なのに…何で緊張とかすんだよ…」
不満そうにブツブツ言っているマイキーを見ながら
俺は苦笑いした
「…マイキー…こんなんでヤキモチ妬くなよ…」
「むぅ〜」
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