第1章 源清磨 / キミの為だけのアロマ ★
心の中で心頭滅却を唱え、何とか背中をクリアした。
いやクリアって何だ。
勿論、すごく気持ち良かった。
「じゃあ次はデコルテをするね。僕は後ろを向いてるから、今度は仰向けになって貰えるかな?」
そう言って、清磨はタオルを肩口まで掛け直してくれると、くるっと後ろを向く。
…清磨は、一体これまで何人くらいの女性にこの施術をしたのかな…。
ふと、そんな事を考えてしまった。
こんなに優しくされて…、あんな風に触って貰って…。
いや、触って貰って、なんて言うと言葉的にアレだけど。
ただの施術だけど。
そりゃ…好きになっちゃうよね…。
また心がチクりとしながらも。
仰向けに体制を直し、いいよ、と声を掛けた。
「じゃあ今度はデコルテだね」
くるっとこっちに向き直った清磨。
あ。そうか。
今までうつ伏せだったから…。
仰向けになると清磨とバッチリ目が合うじゃないか!!
「じゃあちょっとタオルズラすね」
「へぁっ!?///」
「ん? どうしたの? …あぁ、ごめん。だし、いっか、と思ってたけど、顔に乗せるタオル、いる?」
タオルあるんかーい!!!
と思ってはみたが、何だか今更タオルくれというのも癪(?)なので、大丈夫!!と答えてしまった。
答えてしまった……が……。
こんなに近くに清磨の顔があると…。
ちょっと…照れる…な…。
しかも、清磨がタオルを胸元ギリギリまで下げるんだよ?(施術です)
こんなの、ドキドキするなっていう方が無理だ…。
やっぱタオルくれって言えば良かったかもしれない。
「?」
「何でもないです!! どうぞ!!」
「…よく分からないけど…、うん、じゃあデコルテ、始めるね?」
あの小瓶から、清磨の手にオイルが落ちていく。
清磨の手が、オイルでキラキラしてて、余計に綺麗だな…。
綺麗というか。艶やか、というか。
オイルを手に馴染ませているだけなのに、どうしてこんなに色気があるものなのか…。
そしてそんな色気ある手が、指が。私の首筋から鎖骨あたりまでスルっと流れていく。
どうしよう、気持ちいい。
どんな顔したらいいのか、分からない…。
「首も凝ってるね…、ほら、分かる?」
そう言って、清磨は首の凝ってる部分をなぞる。
コリコリするのがよく分かった。