• テキストサイズ

【HP】怪鳥の子

第50章 新学期


 ミラが最後尾のコンパートメントにたどり着くと、ハリー、ロン、ハーマイオニー、ジニー、そしてネビルは無事だった----とは言い難かった。みんな青ざめた顔をしていたし、ジニーは気分が悪いのか、ハーマイオニーに抱きしめられながら隅の方で膝を抱えて泣いていた。

 やっぱりここにもディメンターが来たかと、ミラは小さく舌打ちをした。

「ハリー、大丈夫?」

 特にハリーの顔色は冴えなかった。片手にチョコレートを持っているが、食べる様子はなかった。

「ミラ、それ、どうしたんだい?」

 ロンがミラの服を指さして驚いていた。指されたところを目で追うと、さっきの鼻血が服にもついていた事に気が付いた。

「----ちょっとぶつかって----暗くて見えにくかったから」
「それならいいんだ。てっきり君ならディメンターに攻撃しそうだって思って----ほら、君杖握ってるし」

 ロンはホッと安心に似たようなため息を吐いた。ミラは杖をポケットの中にしまうと、ハリーの横に腰掛けた。いったい何があったのか、どうしてハリーだけが異常に気分が悪いのか、起こったことをロンとハーマイオニーから聞き出した。

「ルーピン先生が追い払ってくれたのよ」

 と、ハーマイオニーが教えてくれた。

「それからみんなにチョコレートを配ってくれて、今運転士さんのところへ向かってるわ。途中で合わなかった?」
「…すれ違ったよ。だから、何かあったかもしれないって思って」
「君はどうだったんだ?僕たちより先に会っただろう?」

 と、ロンが言った。ミラは自分がフレッドとジョージのコンパートメントに寄った時にディメンターと遭遇したことを話した。

「…とにかく不快な気持ちになった。燃やしてやりたかったよ」
「やめたほうがいい。あいつらに攻撃なんてしたら、アズカバンに連れていかれるって父さんに言われたことがある」
「----ミラのところは、誰か倒れた人はいた?」

 まだ顔色の良くないハリーがミラに尋ねたが、ミラは首を振った。それを見たハリーは落胆の色を見せてため息を吐いた。
/ 745ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp