第6章 【第四講 後半】マヨネーズは万能食だけど恋の病には効きません
新八は頬を引きつらせた。なんだ、この安っぽい寸劇は。
○○は鼻で笑った。
「笑わせないでよ。所詮、アンタは私の代わりで登板したに過ぎない、二番手の投手なんだから」
「土方。監督は俺だ。どちらを使うのか決めるのは俺だ」
銀八は土方を諫めると、○○に視線を向けた。
その瞳からはダルさが消え、鋭い双眸へと変わっている。
「スパッツを脱げ」
そして、大きく足を振り上げて投球しろと、○○に命じる。
「それが出来るなら、選手交代だ」
「そ、それは……」
○○は逡巡する。
試合には出たい。だが、そんな恥じらいのない行いなど、出来ようはずがない。
「出来ないか? 所詮、お前はその程度の選手なんだ」
ピッチャーは土方のままだと、銀八は宣言する。
○○はガックリと項垂れ、崩れ落ちた。
徐々に暗転し、幕が閉じられる。第一幕、終。
との文字が、新八の目に浮かんで見えるような見えないような。
「なんの茶番だよ、コレ……」
スパッツ脱げって、単なるセクハラじゃねーかと思いながら、新八は茶番劇を見届ける。