第6章 【第四講 後半】マヨネーズは万能食だけど恋の病には効きません
八回裏が終わり、残すは九回のみ。
何とビックリ、ここまで十四対十四のタイスコア。
寄せ集め野球部員達は、甲子園出場経験のある集英高校を相手に互角の戦い。
「先生、いつまで私をベンチウォーマーにしておくつもりですか?」
円陣を組んでいた面々が○○に目を向ける。
「□□さん、応援要員ですよね?」
「違うよ。チアの格好をした野球部員だよ」
○○も選手として登録されていることを、新八は知らなかった。
「もう九回です。この重要な局面で使わない手はありません」
○○は真っ直ぐな目を銀八に向ける。
銀八はズレたメガネの奥の瞳をちょっとだけ鋭くして○○を見返す。
「確かにお前はエースで四番だ」
「エースで四番!?」
新八が声を上げる。
○○がエースで四番などと、初耳だ。
そもそも、この一週間、○○は野球の練習などしていただろうか?
「だが、お前は使えねェ。監督の意向に従えねー奴ァ、チームの輪を乱す」
銀八の言葉に○○は唇を噛む。
「確かに私は未熟でした。でも今は違います。個人ではなく、チームのために戦えます」
「その言葉に嘘がないなら、お前をマウンドへ送り込む」
「先生!」
ここで土方も声を上げる。
「俺はどうなる? ここまで好勝負を繰り広げられたのは、俺の投球があったからだろ? それなのに、コイツの一存でお役御免かよ!」