第183章 誰のため?⦅虎杖、宿儺⦆
「どうせ なな の事だから、虎杖が宿儺を抑え込めなかったら 自分が何とかしなきゃ、とか思ってるんじゃない?」
『……ぅ"』
「いーい? 青春は " 今 " しかないの。それは虎杖だって同じ。宿儺を飼ってる事で その青春が阻(はば)まれるのはどぅなの?
虎杖はバカだけど、なな よりずっと自分に素直よ。なな も自分の気持ちに素直になんなさい」
釘崎の言葉に なな は虎杖を想った。
虎杖の体には、今はまだ宿儺の指は2本分。
そもそも宿儺の指を探すのが大変な事もあり、宿儺の完全復活は いつになるか不明瞭な点が多い。
宿儺の器という以外、虎杖は自分と何も変わらないのだ。
普段の虎杖は【好き】。
宿儺の時の虎杖に遭遇した事が無いため、必要以上に宿儺を恐れ、虎杖から距離を取るのは虎杖に失礼だと思った。
『野薔薇はスゴイね』
なな はニコッと笑った。
『明日、虎杖くんに返事してくる』
「たまには私とも遊んでくれないと怒るんだからね?」
『当然♪』
☆ ☆ ☆
翌日、なな は虎杖に告白の返事をした。
関係が変わったからといって、何も変わらない。
と思っていた なな だったが…。
「………」
「………」
釘崎と伏黒の痛い視線に なな は苦笑した。
「…宿儺って恋愛で馬鹿になるタイプだとは思わなかったわ……」
「あぁ、同感だ」
「俺も複雑…」
自分の左頬から眼と口を出現させ、なな と話をしている宿儺に虎杖は ため息をついた。