第44章 【第四十三訓】集え、バベルの勇者達!!の話
「そういえば、この間、銀さんの所に女の人が押しかけて来たって新ちゃん、言ってたわね」
「え?」
妙はにこやかな笑顔を浮かべる。
対照的に、○○は表情を強張らせながら新八に目を向ける。
「あんまりしつこいから、なけなしのお金をはたいて追い返したって言ってたじゃない。○○さんと別れたショックで、性質の悪い女性に手を出したのかしら」
「どういうことォォォ! 新八君んんんん!!」
○○は新八の襟首を掴み上げ前後に大きく揺らす。
「おおお落ち着いて下さい、○○さん!!」
目を血走らせている○○の目の前で新八は顔を青くする。
「それキャサリンさんです! ただ家賃の回収に来ただけです!」
姉上、性質の悪い冗談はやめて下さいと、新八は横目で姉の姿を見る。目に映る姉は満面の笑みを浮かべている。
「キャサリンンンン!? そんな身近でアイツ浮気ィィィ!?」
「○○さん、人の話聞いてますか!? うえっぷ」
頭を前後に揺らされ、次第に吐き気を催す。
「○○さん、今はそんなこと言ってる場合じゃないでしょう! バベルの塔建設阻止計画を忘れたんですか!」
その言葉で、○○はぴたりと手を止めた。
「バベルの塔? 何それ?」
妙が問う。
「いえ、こっちの話です。そ、それより合コンです。き、九兵衛さん、どうですか?」
新八は乱れた襟元を直しながら九兵衛に目を向ける。
眉間に皺を寄せながらも、○○は居住まいを正して九兵衛と向き合う。