第32章 【第三十一訓】ミイラ捕りがミイラになった話
山崎は敷地内へと侵入した。
建物の壁に背をつけ、コソコソと内情を探る。
「『何奴っ!!』」
明かりのついた部屋を見つけ様子をうかがった時、その声が届いた。
バレた!? と首をすくめる山崎だったが、どうにもおかしい。
「『マリリンのことかァァァ!! プリーザぁぁ!!』」
室内を覗いてみると、神楽がジャンプの朗読を行っていた。
*
「『どかぁぁぁん、ビシバシビシ。「ぐふっ」。どぉぉん!!』」
神楽の横に座り、○○はジャンプを覗き読んでいる。
銀時と自分が読むために買って来たが、「私が読んであげるネ!」と神楽に取り上げられ、朗読会となっている。
○○は神楽の朗読を聞きながら、自分の目で絵も追っている。
「貸せ、もう自分で読むから」
全く内容が浮かばない神楽の朗読に、銀時は嫌気がさす。
だが、神楽は聞き入れずに朗読を続ける。
「『あはん、真中殿、電気を消してくだされ』」
「いい! もういいって! 早い! お前にはまだ……!」
銀時は上体を起こし、手を伸ばした。
情操教育には悪影響な、お色気満載の漫画まで朗読し始めたため。
○○は気にせずに神楽と共にページに目を落としている。
「何、勝手に動いとんじゃあああ!!」
突然襖が破られ、長刀を持った妙が乱入して来た。
銀時の股のすぐ近くに刃はぶっ刺され、床を貫く。
○○は神楽の手から離されたジャンプをもらい受け、淡々と読み続けた。