第23章 rebel
タケミチは捕まった。
警察の直人によると、今回はタケミチ本人が間接的に日向を殺していたという事実を突き付けられる。
稀咲から自分へ、自分からアッくんに下した命令だったが、殺す相手が橘日向だということは知らなかった。
この事実の証拠である動画は、千冬によって隠されていた。
「もう…ヤダよ…
何度目だよ……
なんも変わってねぇじゃん…
むしろもっと悪くなってる…
俺が…ヒナを……」
今までに無いほどの絶望感に苛まれる。
もうやめようと泣きながら直人に叫ぶ。
直人も泣きながら抱き締めてきた。
「僕は君に救われた!
なにもできなくなんかない!!
僕の知っている最初の世界は東京卍會に、龍宮寺堅も月乃ランもいなかった!
松野千冬も羽宮一虎も、場地圭介も…
誰もいなかったんです…!」
全員の姿が目に浮かび、奥歯を噛み締めた。
無力感と絶望感でキリキリ痛い胸を必死に抑えた。
「彼らの想いがなかったらここまで東マンに食い込めなかった!彼らの想いを紡いだのは君ですよ!
東マンを変えられるのも、姉さんを救えるのも、君だけなんです!
最悪の世界を変えてください!!」
行くなら今しかない…
留置所に移送される前の「今」しか
直人と握手することはできない。
タケミチは意を決して強く手を握った。
もう、あとはない。
これで最後かもしれない。
次こそは
この最悪の未来を一新すると誓って。