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☆一夜の夢☆〈イケメン戦国 上杉謙信〉

第5章 看病三日目 護身術と誓約


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――


牧が書簡を持って立ち去り、土間で昼餉を作っている舞の様子を窺う。
右へ左へと世話しなく動いているところを見ると怪我はなさそうだ。

ひとまず安心だが、咄嗟に体を動かしたなら打ち身や痣ができていてもおかしくはない。


(牧の話を聞いた限り背中が怪しいが…)


こちらに向いている背中を見ても当たり前だが見る事はできない


(着物を直させる前に佐助に確かめさせるべきだったな)


「あれ?謙信様、佐助君の先輩は?」


できあがった料理を乗せた盆を持ち、舞が部屋を見回している。


謙信「あれなら少し前に行ったぞ」

「全然気が付きませんでした。さすが本職の方ですね」


怖い目に合わされたのに牧の食事まで用意しようとしていたようだ。
舞はさっきの出来事を忘れたような振る舞いだが、食事の前に確認しておかなければ。


謙信「そんなことより痛むところはないか?」

「ええ、なんともないです」


嘘が下手な女だ。
わずかな動揺が目にも呼吸にも表れている。


(大方、怪我をしていると言えば俺が牧を𠮟りつけるとでも思っているのだろう)


他人に情けばかりかけて自分を大事にしない生き方は危うい。


謙信「本当か?後で佐助にお前の体を確認させるぞ?」

「そ、それは駄目です。本当に大丈夫ですから!」


舞は目をまん丸にさせ、思いきりかぶりを振った。


(恋仲の相手に肌を見せるだけなのに、何故そんなにも否定する?)


違和感を覚える程に拒否の姿勢をみせた。


謙信「頑なに拒むとは余計怪しい。怪我をしているのではないか?」

「し、してません!
 たとえ恋人だろうが友達だろうが同姓だろうが、体を見せるなんてはずかしくないですか?」

謙信「そういうものか?」

「そういうものです!」


恥じらいと言えばそうなのだろうが、舞は『とんでもない』と言わんばかりの顔だ。

反応が過剰すぎる…どうもおかしい。
佐助と恋仲だが肌を合わせていない、というところか?



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