第1章 轟君
頭をぽんぽんと撫でられ目を細めれば、立ち上がった焦凍が電気を消してくれる、はずだった。
『や、だ、だめ…!全部、消してよ…!』
「常夜灯が無いと、なんにも見えないだろ」
『何にも見られたくないの…!ひゃあっ!』
布団の上で少し後ずさったが、目の前に腰を下ろした彼に首筋を舐められて、体勢を反らした隙にあっという間に組み敷かれてしまう。
豆電球なんてずるい!
そ、それに、今、舐められた、よね??
徐々に熱を帯びていく自分の身体を抱きしめながら、ばっちりと合う目を逸らせずにいると、
「1年記念日のプレゼント、何が良いかこの前、聞いてくれたよな」
『そ、そうだっけ…』
ばっちり覚えているが、誤魔化してフニャッと笑ってみる。
けれど、全く解放してくれる気配はなくて、
「ゆきをくれ」
『へ?
…ずっと前から、しょう、と、のだよ?』
「また、いちいち言わせる気なのか」
『…!ぁ…えっと、わ、私も焦凍が、欲しいです」