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恋はどこからやって来る?(短編・中編)

第71章 右手に陽光、左手に新月〜水柱ver.〜 / 🌊・🎴





「義勇さーん、おはようございます!竈門炭治郎でーす!」

「おはようございまーす、沢渡です。水柱ー!ご在宅ですか?」

以心伝心で食事をした五日後、二人は水柱邸の門扉の前にいた。
炭治郎はある料理の材料を、七瀬はある甘味をそれぞれ持っている。

「炭治郎。再度確認なんだけど、どうやって継子志願しようと考えてるの?」

「勿論継子にして下さいって直談判…」

はあ、と彼女はため息をつきながら項垂れた。

落胆の様子を見せる同期隊士を物ともせず、きらきらとした曇りなきまなこを見せる炭治郎である。

「私、やっぱりこれ持って来てよかったよ」

「? そうなのか??」

早く義勇に継子申請をしたくてたまらない炭治郎を見ながら、七瀬は一人気合いを入れた。

この勝負絶対に勝たねば、と。

グッと両手に力を入れた瞬間、重厚な門が音を立てながらゆっくりと開いた。

そこから静かに姿を現したのは、本日の決戦相手…冨岡義勇である。


「義勇さん、おはようございます!」

「おはようございます、朝から申し訳ありません」

義勇は近日中に来るだろうと予想していた炭治郎が、想定外の人物と共にいる事に若干戸惑っているように見える。


「炭治郎、お前は文をきちんと読んだのか?…それから何故沢渡も一緒なんだ」

「読みました! 義勇さん、俺を継子に…」

「それは文にも書いただろう。断る」

気持ちが前のめりになるのを抑えられない炭治郎を瞬殺する義勇。

このやりとりを間近で見ていた七瀬は両目を見開き、横にいる炭治郎の事を凝視した。


「待って、手紙でもう言っちゃったの?」

「ああ、う、うん。まずかったかな…」

「……」


顔面蒼白になった彼女は己の中で描いていた、炭治郎を義勇の継子にする計画が一気に崩れていく。

水柱に正攻法は恐らく効かない。その為、一番やってはいけない戦法だからだ。


「俺では力不足だ。他を当たれ」

「あ、ちょっと! 水柱、待ってくだ…!」

予想通りの反応を見せた義勇に慌てながらも、間一髪。門扉が閉じる前に七瀬は体をするりと滑り込ませた。

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