第26章 慟哭
さんが無言で立ち上がる。
とりあえず手首の拘束をとってもらうか、と考えていたが、さんはまったく予想外の行動を取り始めた。
「え?は?なにして」
「………もう、知らないから」
さんがオレの下腹部に跨り、自分の唾液を後ろに塗りたくった。
まさか
「ちょ、ちょっと!さん待っ…!」
「待たない」
違う。
オレの望むさんとのはじめての行為は、こんなんじゃない。
臀を浮かせ、オレのモノを躊躇いなく一気に飲み込むように腰を沈めた。
「ひ、あぁッ!?あ゛ッ!!」
「ッあ…!」
突き上げられるような衝撃にさんがビクビクと震えながら吐精する。肉壁に包まれる未知の感覚と、達した衝撃でオレのを吸い上げるようにうねる感覚にオレも中でイってしまった。
「あはッ、千冬もイッてるッ、はぁ、中すごい熱い…嫌とかいってめっちゃ感じてんじゃん」
ビクビク体を震わせながらそういってオレを見下ろす。
「千冬、もっと気持ちよくしてあげる。だから、俺と仲直りしてね」
細い上半身を倒し優しく触れるだけのキスをしてきた後、上下に律動する。
気持ちいい。セックスってこんな気持ちいいのか。
さんの中は暖かくて、柔らかい、それでいてキュッと締まりがよくて、オレの想像の何倍も気持ちいい。
先が奥にグッと押し付けられる度、強い快感に腰が仰け反る。
さんの勃起した中心が、さんが腰を振る度激しく揺れるのもエロい。
頭が快感に支配されていくのがわかる。
オレ、なんで怒ってたんだ?そもそもなんで喧嘩したんだっけ。ハッとなりなんとかギリギリのところで繋ぐ。
ここでなあなあになったらさんの思う壷だと自分に言い聞かせる。
「あっ!あぁ!ん、はっ!
きもちぃ、千冬!千冬のおっきくてかたいッ」
「ッ…はぁ、…くっ…」
「ね、千冬、ハぁッ、きもちいでしょ?あんっ、ぁっ!あははっ、オレまたイッちゃいそぉっ!あ、イくイくッ!!でるッ…!!」
発情期の獣のように腰を揺さぶり、さんが吐精した。
激しい上下運動にオレもたまらず中に出してしまった。