第16章 ガレオン船
「ところで航海士さん、ログは大丈夫?」
「西北西に真っ直ぐ!平気よ、ロビン姉さん!」
「…お前、絶対宝石貰っただろ…」
すっかりロビンに懐いているナミを見てウソップは呆れた表情を見せる。あれ程、凄んでいたのに彼女の変わり様に思わず脱帽してしまいそうだ。
「ナミ、次の島は雪が降るかなぁ?」
「あんた、また雪見たいの?」
「"アラバスタ"からのログを辿ると確か次は秋島よ。」
「秋か!秋も好きだなー!」
「ユラもまた雪見たい〜!」
真っ白でふわふわな雪をユラは大層気に入った様子。しかし雪を見るのはまだ先になりそうだと知ると残念そうに肩を落とす。
「秋も秋で良いものよ。」
「秋って何があるの?」
「気候もいいし、紅葉がとても綺麗に色付いているわ。後、食べ物も美味しいし。」
「「美味しい食べ物っ!」」
美味しい食べ物と言う言葉にユラとチョッパーは目を輝かせる。早く着かないかなぁっと浮き足立つ2人に花子が顔を綻ばせていると、突然パラリと上から何かの破片が落ちてきた。何事かと空を見上げると視界を覆い尽くす程の大きな影。
「空からっ…?!」
「…ガレオン船?!」
なんとメリー号の数倍はあるであろう巨大なガレオン船か空から降ってきた。それがメリー号の真横に落ちた事により大きな波が生まれその衝撃で船体は大きく揺れる。
「掴まれ!船にしがみ付け!!」
「何?!これ何なの?!!」
「ユラ!チョッパー!しっかり掴まって!」
「ぎゃあー!助けてくれぇー!」
激しい揺れに成す術無く皆しがみ付く。ガレオン船から離され暫くすると揺れは止み空からも何も降ってこなくなった。
「何で空から船が降ってくるんだ…?」
「空には何もねぇぞ?」
空を見上げて見てもそこにあるのは雲だけ。不思議な現象に困惑しているとナミが悲鳴を上げた。
「どうしよう!ログが壊れちゃった!上を向いたまま動かない!」
「違うわ、より強い磁気を持つ島によってログが書き換えられたのよ。」
ログの仕組みは知っている。しかし、より強い磁気を持つ島と言っても頭上には一面に青い空と雲以外何も見えない。
「上を向いているって事は"空島"にログを奪われたという事。」
そんな夢物語の様な島があるのかとルフィとウソップ、それにユラも目を輝かせ空を見上げていた。