第4章 【闇払いごっこ】
ウィーズリー家に帰ると、ハリー、ロン、クリス、ハーマイオニーの4人で『伸び耳』で聞いたドラコの会話を推理し合った。
しかしあんなに短い会話だけではどこまで行っても推測の域を脱せず、完璧な結論には至らなかった。
2、3日もするとロンもハーマイオニーもこの話題に飽きて、2人の頭の中は新学期の事でいっぱいになってしまった。
「だからね、ハリー。これ以上話し合っても、無意味なのよ」
ハーマイオニーはハッキリそう言ったが、ハリーとクリスは別だった。ハリーは隙あらば4人で会話の事を話し合おうとしていたし、食事の時もずっと考え事をしているのか、難しい顔ばかりしていた。
クリスも同様で、暇さえあればドラコと対峙した時の事を思い出し、ハリーと一緒にあれこれ推測を立てた。
あのドラコの自信満々な態度。あれの裏付けはいったい何だったんだろう。そして自分の母親にも言えないような企みとはいったい――。
長い付き合いのあるクリスが考えても考えても一向に答えが出ないくらいなのだから、他の人間に分かるはずがない。するとその内、ハリーがとんでもないことを言い出した。
「分かった、あいつ……ヴォルデモートに何か言われたんだ。家来にしてやる、とか?……ううん、違う。そうだ、あいつ自身が家来なんだ。あいつが『死喰い人』なんだ!」
流石のクリスにも、この発想はなかった。だがロンもハーマイオニーも、ハリーの考えを真っ向から否定した。たった16歳の少年を、ヴォルデモートが仲間に引き入れるわけがないと。
しかし、クリスは中々良い線をいっていると思った。あのドラコの自信たっぷりな態度と、まだ赤子だったクリスにすら『闇の印』をつけた事から、可能性としては十分あり得ると結論付けた。