I don’t want to miss a thing.
第1章 …I'll be there for you.
先日の抗争の締めの会ということもあり、今日は珍しく長丁場の集会となった。
ドラケンの解散を告げる声と共に、それぞれが駐車場へと戻り、好きなように過ごしているようだった。
俺は、携帯をポケットから取り出すと、『了解^^』と書かれたメールを確認し、椿木さんの電話番号を探す。
ちゃんと明るい安全な場所に入って待っていてくれているだろうか?
すぐに大丈夫とか何とか言い出す彼女のことを思い浮かべて、俺は頬を緩めた。
「……タカちゃんタカちゃんッ!!!あれ、まずいって!!!!」
「あ?急になんだよ、八戒。」
アドレス帳を開いていれば、俺の肩をバシバシと叩く八戒に眉を顰める。
「あそこにいんの、凛子ちゃんじゃねェ?!?!」
八戒が指さす方を見遣れば、駐車場の奥の方で、制服姿の見知った後ろ姿があった。
「………あんのバカッ!何でここにいんだよ!」
俺は八戒を置いて、急いで階段を駆け下りる。
「あ?三ツ谷そんなに急いでどーしたよ。」
「腹でも下したかー?」
すれ違い様に声をかけるドラケンと場地の声も今は耳に届かない。
急ぎ足で、野郎共が群がる方へと向かえば、やはり輪の中には奴らに絡まれている椿木さんの姿があった。
「おーおー、お嬢ちゃん。こんな夜遅くに女一人で出歩いちゃあいけねぇよ。」
「俺達がお家まで送ってあげようかぁ?勿論、タダでとは言わせねぇけどよぉ!」
「け、結構です!」
「清楚なナリして、中身はビッチだったりしてぇ?!最高かよ!!!」
前方から耳障りな男達の声が聴こえてきて、自然と眉間に皺がよるのを感じる。
「…やめろや。この子、俺の大事な子なんだけど。」
椿木さんの肩を強く抱き寄せて、ジロリと周りの野郎共を睨む。
そいつらは俺の姿を確認すれば、目を大きく見開き「す、すんません!!!!」と頭を下げた。
「その…俺達、三ツ谷君の連れが来てるとは思わなくて…!」
「あまりに美人だったんで、つい出来心で!ほんとすんませんっす!!!」
「あ?出来心?…テメェら、今度同じような真似したら、ただじゃおかねぇかんな。」
そう言って無言の圧をかければ、罰が悪そうに散っていく男達。
俺は奴らの後ろ姿を見送って、はぁーっと大きくため息を一つ吐いた。