第55章 明司兄妹

「さすが"喧嘩屋"を名乗るだけはある。層が厚いな、六破羅単代(ﾛｸﾊﾗ)」



「ウデっぷしだけなら天竺ナンバーワンだった男をオレがスカウトした」



「血が踊るだろ？ワカ。」



「踊らない」



「テメっ、いつの間に!?」



背後に立たれるまで全く男の気配に気付かなかった鶴蝶はゾクッと身体を委縮させ、慌てて距離をとる。



「オレが殺る気だったらオマエ今、立ってねぇよ」



髪をハーフアップにしたタメ目の男の名は『今牛若狭』。かつて東関東を仕切る12のチームが集まってできた「煌道連合」を率いる総隊長として活躍していた過去を持ち、ベンケイと同じく梵大幹部の1人で【韋駄天】の異名を持つ。



「(次から次へとバケモンがぞくぞく!!)」



「青宗くん、あの人も初代だった人？」



「あぁ、"初代"のワカ君だ」



「(この人も黒龍の創設メンバー…)」



カノトはベンケイとワカを見る。



「オイ!!カッコつけてシャシャんなワカ！」



「オレは千咒の命に従うだけだ」



「(鶴蝶のパンチをゼロ距離でくらっても平然としてるなんて…恐るべし"初代"。)」



二人の登場に周囲がざわつき始めた。



「花垣、心叶都。あれが"生きる伝説"、初代黒龍の最強コンビ!!ワカとベンケイ。そして初代黒龍副総長、"軍神"明司武臣。」



「(生きる伝説と副総長…)」



「これが初代黒龍の創設メンバー。佐野真一郎率いる初代黒龍を日本一のチームに導いた男たちだ!!」



「(この人たちが…)」



「(初代黒龍の創設メンバー。)」



「そして今、"生きる伝説"たちを率いるナゾの男が"無比"の瓦城千咒」



「！」



千咒に視線を遣ると、彼は何かを探るようにジッとカノトの事を凝視めている。



「(何で見られてるんだろ…)」



「何勝手に盛り上がってんだコラぁぁ！」



「ドラケンくん！」



「とりあえずさっきの続きあンだろ？サウス。久しぶりにエンジンあったまってきたトコだぁ」



既にヤル気満々のドラケンがニヤリと笑う。



「はじめようか、大乱闘」



「(ど…どーなっちゃうんだコレ!!?)」



「ドラケンくんが参戦するなら僕たちも覚悟を決めて命張らなきゃね」



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