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【呪術廻戦】-5歳で五条家に来ました-

第4章 抱擁


「なにビビってんの? 呪霊も夕凪なら大した事ねーと思うし、ほらほら来いよ」

 悟くんがあたしに手を差し伸べる。

 そんな風に手を出されたら、思わず掴みたくなってしまう。でもいいのかな、ほんとにあたしこれからも悟くんの近くにいて大丈夫なのかな? 

 今ならまだ道を分岐出来る。手を出してはみたけどその手が前に進まない。悟くんがさらに手を伸ばしてくる。

「でさ、夕凪は俺の見えるとこにいて。ずっと……おまえはずっと俺のそばで、俺のこと見ててよ」

 空気がしーんと張り詰める。
 呼吸が完全に止まって死ぬんじゃないかと思う。息が出来なくてずっと胸が苦しい。

 ……悟くん、あたしは完全に落ちました。

 婚約者の事も、自分の身の振り方も、五条家の事も、術式相伝の事も、何もかもが不安で動けなくなってたけど、今の言葉を貰ったから、あたしは悟くんの近くにいます。ずっといる。たとえ、何が起きても、どんな事があっても。

 悟くん……信じていいんだよね?

 悟くんの言葉にこくりと頷いた時、これまで泣かされてきた涙とは違う涙がツーっと一筋、頬を伝った。止まっていた手をゆっくり悟くんの方に伸ばしていくと、迎えにきていた彼の手がぎゅっとあたしの手を掴む。

 そのまま、強く引き寄せられて、あたしは悟くんに抱きしめられた。

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