第9章 婚約者は誰?
心境はとっても複雑。
五条家の事を思えばあたしが引き下がるのが妥当だ。けど、あたしはずっと側にいるって悟くんに誓っている。
もし、悟くんが遺言に従って婚約したとして、その後もずっとあたしを手放さかった場合、あたしは愛人みたいな扱いになるのかな?
だけど、本妻との間に術式相伝の子が生まれて、あたしはそんな中、彼といれるだろうか?
今はあたしの事を思ってくれていたとしても、悟くんだって自分の子供は可愛いだろうし、それが跡取りともなればなおさら。あたしの必要性なんてゼロだ。奥様や当主と顔見知りなだけに、五条家にも近寄りがたい。
正直17歳のあたしにはそんな人生を想像するだけで胸が切り刻まれるほどに痛い。だいたい愛人なんて立場、あたしに耐えれる? 悟くんが他の女の人を抱く傍ら、あたしも彼に抱かれたとして、愛してるって言ってもらえたとして、それで幸せになれるの?
本妻の方の顔見れる? 無理だ。この人、昨日、悟くんと寝たの? って思ったら殺しちゃうかもしんない。
いや、ダメダメ、そんな過激派になったらだめ。修羅場じゃん。あたし悪女じゃん。あたしこそが五条家の呪いじゃん。やっぱり愛人なんて無理だ。
色んなこと考えながら力尽きて、あたしは電気もつけっぱなしにしたまま寮の自室の机に突っ伏して眠ってしまっていた。