第5章 No(契約なんて致しません!)
「出来ましたよー」「ごはんなんだゾ~!!」と声が聞こえ、テーブルに次々と料理が並べられていく。
揚げたての肉にキャベツ、
トマトと色とりどりの野菜たち。
蓋を開けると、
キノコの良い香りがする茶碗蒸し。
グリム印の特製スープに、
真っ白に輝く白米ごはん。
初めてみる異国の料理だが、
こおばしい香りに、食欲が刺激された。
(((………美味そう)))
それを見た瞬間「ゴクっ……」と食べる前から、
全員の喉がなった。
使いずらいと思うが、箸もみんなの前に並べた。
「めしあがれー!」
「「「「イタダキマスーー!!」」」」
ぱくっとかぶりついたのは、全員とんかつからだった。
やっぱり、みんな男の子なのね…と、食事はまずスープからと決めているユウは様子を伺った。
すると、はじめて食べたとんかつに
四人の目がキラキラと輝き始める。
「美味ッ!熱ッー!うまぁいっ!!」
「人間っっ!!これは何という料理なのだ!!
こんな美味しい物、
ぜひ若様にも味わってもらいたい!」
「たんげ、めぇッ!!(すごく、おいしい!!)
こんな料理はじめて食べるべ!」
「なんだこれ!噛んだ瞬間肉汁があふれくる!
余裕で噛み切れるし、俺の知ってる肉じゃねぇ!」
TWLの世界では、ほぐれるまで豚肉を加熱した『プルドポーク』が人気なので、分厚い豚肉料理は初めてみたい。そういえば、海外の友人も初めてとんかつ定食食べた時、同じように感動してたっけ…と思い出した。
「セベク、お前箸も使えねーのかよ。
フォークじゃないんだから、ぶっさすなって」
「ム…。この木の棒に使い方などあるのか?」
「ユウ!この茶碗に入っているのは、
もしかして卵なのか?」
「そうそう!よく分かったね、デュース。
それは茶碗蒸しって言う料理だよ。
スプーンですくって食べるの。
あっ、ソースとか塩もあるけど、エペル使う?
お肉にかけて食べると、美味しいよ」
「すごいっ…!色んな食べ方があるんだね!
ポムフィオーレじゃ
絶対食べられないから、嬉すいッ!」
「ユウ……。その、ライス……お変わりあるか?」
「はあい。ちょっと待ってね」
ワイワイと普段より賑やかな食卓に、
嬉しそうなユウの笑い声が響いた。