第2章 目覚めた先は
「眠った、、、か。」
「きっとお嬢もずっと気を張ってたんだろうよ。」
「そりゃそうか。いきなり目が覚めたら牢の中なんざ、油断できねぇだろうな。」
「オイ、イゾウ。」
「なんだ?親父。」
「コイツのことを少しでも知りてぇ。
そこにあるヤツ、読める分だけで良い。読んでくれねぇか。」
「あぁ。わかった。」
イゾウ、と呼ばれた女形の男は悪いと思いながらも、鞄の中を探っていく。
マルコも一通りは目を通したものの、ほとんど読めない文字ばかりでお手上げだったのだ。
「それにしても〜。念願の妹か〜。
ぐふふふふ、起きてた時から思ってたけど、、寝顔も可愛いなぁ。」
「サッチきもいよい。」
「手ェ出すなよ。」
「うるせぇ!パイナップル!
ビスタ!流石にださねぇよ!妹だぞ!!」
「どうだかねい。」
イゾウが検分している間、周りの男達はそんな馬鹿げた会話を繰り広げていた。
と、
「親父。お嬢の名前だが、黒咲菜々美で間違いなさそうだ。」
イゾウは生徒手帳、と書かれた小さな手帳を開いて見せてそう答える。
「何故わかる?」
「何の組織かは知らないが、お嬢は高校、と呼ばれる所に属してた。
それを証明するものがコレだそうだ。
見ろ。写真付きで名前と年、生年月日に血液型が書いてある。」
「歳は17か、、、若いな。」
「待てよい。血液型がAって、どう言うことだよい。
Aなんざ、聞いたことねぇ。」
「確かに、普通ならX、F、S、XFの4種類だろ?」
「まぁ、後で採血して調べてみるかねぃ。」
「だが、お嬢についてわかったのはこれくらいだな。
あとは読めても理解できない言葉が多すぎる。」
「そうか。名前がわかっただけでも十分だ。
ご苦労だったな、イゾウ。」
「あぁ。何かあればまた呼んでくれ。」
「菜々美が起きたら宴だ!
野郎ども、準備しとけ!末っ子の歓迎会だ、盛大にな!!」
「「「おう!!」」」