第8章 過保護じゃなくて溺愛ね
その後も悟は何から何までやってくれた。
ご飯は毎回用意してくれて、少しでも動こうとするものなら慌てて止められる。
そんなこと僕がやるからぁ、と。
「そんなに全部やって貰わなくても自分で出来るよ?」
「でも悪阻辛いでしょ?」
「辛い時は辛いけど常にじゃないし、少しは動かないと身体が訛っちゃう」
「いーの、僕がやりたいだけなんだから。
真白はゆっくりしてて」
本当に悟は何から何までやろうとしてくれる。
お風呂にも一緒に入ろうとして来るし、トイレにまで着いて来ようとする。
流石にそれは遠慮して欲しい。切実に。
「おやすみ、真白。
夜辛くなったら僕のこと起こして良いからね」
「ありがと」
流石に寝ている悟は起こせない。
明日も明後日もその先もずっと仕事の筈だ。
只でさえ呪術師は万年人手不足。
その上特級術師はかなりの量の仕事が割り振られる。
私の分の仕事まで請け負うとなると通常よりもかなりの仕事量になるだろう。
そんな悟にこれ以上負荷は掛けられない。
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「ん……」
「あ、ごめん起こしちゃった?」
「さとる?もう仕事?」
「ん、そうだよ。まだ時間あるからゆっくり寝てなさい」
「行ってらっしゃい。気を付けてね」
「僕を誰だと思ってんの?
真白こそ体調気を付けてぜーったい無理しないこと!
やばくなる前に僕や周りに言いなさい。良いね?」
悟の言葉に小さく頷いた。
「良い子。それじゃあ行って来る」
「行ってらっしゃい」
悟を見送り、ふと時計を見ると朝の5時。
まだ起きるには少し早い。
布団を頭の上まで被ると再び深い眠気が訪れる。
心地良い。
今日は起きたら何しようかなぁ。
調子が良かったら少し動きたい。