第29章 叶えたい願い事は…(雲次さに)
この気持ちが分からないまま打ち合わせが終わってオープンカフェをあとにする。
最寄りの駅前で別れ際に雲次に呼び止められた香澄。
「こんなこと今日会う女性に言うのは信じてもらえないかもしれないけど
一目惚れしました、僕と付き合って下さい」
『あっ、えっ??私でいいんですか……?』
「貴女だから良いんです、僕じゃ駄目ですか?
誰か気になる人とか居ますか、お付き合いしてる人とか…」
『そんな相手はどちらも居ませんけど、でも私は仕事が立て込むと会えなくなりますが大丈夫ですか??』
「仕事優先で大丈夫です
そのかわりじゃないですが連絡先を交換してもらっても良いですか?」
雲次がポケットからスマートフォンを取り出すと、それに釣られて香澄は鞄の中にしまっていたスマートフォンを取り出した。
『今LINEの私のQRコード出しますね』
「追加します、あのLINEいっぱい送ってしまうかも嬉しくて」
『ふふっ、楽しみに待ってますね』
突然の事ですごく驚いた
こんな私のどこがいいのか分からなかったけど"私のことを大事にしてくれようとしてくれてるし、彼の笑顔をもっと近くでみたい"という気持ちが勝ったので彼の申し出を受け入れた。
その雲次さんからデートに誘われたのが7月7日
せっかくのお付き合いをし始めて、初めて七夕なのに…まさか残業で会う事が叶わないなんて思っていなかった…。
香澄はフッーとため息をついて気持ちと頭の中を切り替えて重い体を起こしてデスクに向かい仕事を始めた。
***
(雲次side)
今までずっと天気しか興味がなくて、天気と関わる人としか仕事をしていたから、こんな形で初めて誰か好きになるなんて思ってもなかったよ。
しかも仕事で会った初めての相手に一目惚れって人生の中で経験した事はなく、でも彼女を見た瞬間に"僕が守りたい"と思ったんだ。
この打ち合わせだけで終わりたくないと思って、最寄り駅まで送った帰る彼女に自分の想いを口に出してしまった。
告白なんて初めての事で思わず口に出してしまった言葉に彼女は驚いた表情を浮かべて最初は黙って居たけど