第18章 無垢なる贄と仮初の平穏と
与 幸吉の捕縛失敗―
敵側にもこちらが与を怪しんでいることがバレてしまった可能性が高い。
こちらは敵の情報を引き出せず、敵側には警戒されてしまった。
4人は高専に戻ったものの、なんとなく暗い表情だ。
それを見た五条は大袈裟に肩をすくめる。
「もう、皆暗いよ?任務失敗なんて割とよくあることなんだから、そんな気にしなくていいのよ?」
むしろ全員無事に戻ってきたのだから御の字だ。
「さぁさぁ気を取り直して。良いニュースと悪いニュース、どっちから聞きたい?」
「……まだ悪いニュースあんの?」
虎杖の顔から嘘だろという言葉を見てとった五条はニンマリと笑った。
「じゃ、良いニュースから……な、なななんとっ、皆に一級推薦がありました!」
「……?」
4人ともあっけに取られていて、リアクションが薄い。
「何ポカンとしてんの、ここは喜びのあまり泣いちゃうところでしょ!」
「いきなり過ぎませんか?」
もっとテンション上げなさいよと口を尖らせる五条に伏黒は訝しげに疑問をぶつけた。
「別にいきなりじゃないよ、根拠もあるしね。交流会で特級を足止め、それに八十八橋で特級相当を3体倒したろ?」
それらが評価された結果だ。
……まぁ、五条が裏で賄賂を渡して、というのもあるのだが、いずれ推薦を受けるのならそれを早めたとて何ら問題はない。