第36章 私達だけの世界
ゆっくり休むのも目的の一つだけれど眠る時間は夜にして、日中はこうも晴れたならその天気を利用したいじゃん?
私の肩に顎を乗せてた悟が布団の中で体を少し離し、ちょっとだけ嫌そうな表情をわざわざ私に見せてくる。
「……僕は朝からイチャイチャ、したいんだけど?」
『じゃあ、もう少しだけこのままイチャイチャしとく?』
にこ!と笑い飛びつく悟はぐりぐり肩に頬擦りしながら「するー!」と、眠そうだったのが嘘みたいに元気になった。
眠りから覚めてもこうもゆっくりとした時間が流れているのって素敵だな、と夢の中でも悟と居た事を思い出して私も負けじと悟にひっつく。
どんな夢だったか詳しくは覚えてないけれど、にこにこ笑い合ってカフェで楽しい話をしてたような、日常の一コマのような夢だった。
飽きるまで、いや彼に関してはほぼ毎日くっつくものだから飽きないのだろうけれど。悟が落ち着くのを待てば頬擦りを止めて私のお腹を優しく撫で、今日の予定を話し合う流れになってくる。
……お腹すいたなあ、悟が触ってる時にお腹が鳴らなきゃ良いんだけど。
「なー…、今日は一日晴れてるんだろ?」
『だと思うよ、ちょっと待って、障子開けるから……、』
片手を障子の方に伸ばし、しゅるしゅる…、と手首や指先などから複数の式髪を召喚しては、それで器用に障子のくぼみや隙間に引っ掛け、スライドさせていく。
かたん、と全開にした窓からは布団で寝転がって向かい合う私達には眩しく、そして空の多くを占める青を見た。
時々流れる千切れた雲。雨とか降りそうも無いんじゃない?そんな空からすぐ隣のふたつの宝石みたいにキラキラとした、常に側にある私だけの空へと視線を移せば、彼も私を丁度向いた瞬間であって。
「……雨なんて振りそうもない青空だね。こりゃあ部屋に籠もらずに外出しなきゃ損だ!」
『ん、じゃあ外行こうよ?』
ふっ、と笑った後に顔をこちらに近付け唇に触れるだけのキスをして。気持ち良い体温と馴染む柔らかさが唇でひとつになれたようにさえ錯覚しそう。
唇が離れた後に物足りなくて、こっちから悟にぎゅう、と抱きついたりして。