• テキストサイズ

【ハイキュー】思い出すのは、いつも【黒尾鉄朗】

第60章 5月中旬(海.2)


「………じゃあ。アキくん、今日なんで

ここの海に連れてきてくれたの?」



「ん~?ネットで調べたら、いつでも駐車場が停めれるって書いてあったから」





あ~〜〜、なるほど



納得





偶然だった今日この場所が恨めしかったけど



ストンと





「そういうことか~」





素直な感想





「なにが?」



「ここね。最初の彼氏が入籍したのを知った日、

泣きじゃくってどうしようもない私を

元彼が連れてきてくれたところなんだ~。

で、お付き合いが始まった場所」



「…………まじか」



「ね?ビックリするよね~。

なんでアキくんここに連れてくるの?!嫌がらせ?!

って思った(笑)」



「…………言ってくれたら、移動したのに」





アキくんは、いつも優しい





「ありがと。だけど、特別な場所だって

思いたく、なかったから」



「………特別な場所じゃ、なくなった?」





アキくんの右手に少しだけ


力が入ったような気がした。





「んーーーーー」





今日ここにきて、星空を見上げて




今まで気づかないフリをしていた、


気付きたくなかった気持ちに気付いてしまった。





だけど、それを受け入れよう。




と、


そう、思った。





だけど



それを言葉にしようとすると、



少し、体が震える。







波の音だけが聞こえる。





なかなか話出せない私を



手を、繋いだまま。





アキくんは黙って待っていてくれる。





ひとつ



ふたつ



みっつ




深呼吸




体の中いっぱいに、


懐かしい潮の香りが広がる。





「…………ふぅーーーーーーー」





そしてそれを、



大きく吐き出して。
/ 355ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp