第57章 4月下旬(おにぎり宮)
最近は遅かったり、そうでなかったり。
残りたい日は残ったり、
帰りたい日は帰ったり。
自由にやらせていただいております。
今日は、久しぶりにおにぎり宮のご飯が食べたくて
頃合いを見計らって会社を出て、宮に向う。
で、カウンターで優雅におひとり様中
というのも、
ちゃんとピークを外したから
ゆったりと、両隣に座っている人はいない。
別に、満席でもいいの。
ただ、パーソナルスペースでいえば、
両隣は空いていた方がより快適だってこと。
食事をしていくお客さんはそんなに多くないけど、
テイクアウトで相変わらず人の出入りは多い。
最初の頃は気になって、
ガラガラと入り口が開く音がするたびに
音のする方に視線が向いていたけど、
そういうのにも、慣れた。
今日も、おにぎりもお味噌汁もおかずも美味しい。
ほんと、定期的に食べたくなるんだよなぁ。
ガラガラガラ
また入り口が開く音がして
「いらっしゃいませ~!あれ、なんか久しぶりやなぁ!」
たぶん、常連さんなんだろうなぁ。
いいな。
そういうの、なんか憧れる。
いつか私も、そういう風に言ってもらえるように頑張ろう。
………頑張ろう?
なんか違う気もするけど、まぁ
そんな感じ。
「えーーー!今日一人分なん?!
赤葦くん、奥さんの分忘れてない?大丈夫?」
「はい。だから宮に来ました」
珍しい、だけどよく知っている苗字に
思わず顔を上げて、声のした方に視線を向ける。
「あ!赤葦さん!」
突然私に名前を呼ばれて
驚いた顔でこちらを見る赤葦さん
「あれ。お疲れ様です」
「なんなん?二人知り合いなん?」
「あ、はい。今一緒に仕事してて。
え、佐藤さん。一人じゃないと食事ができないタイプですか?」