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【ハイキュー】思い出すのは、いつも【黒尾鉄朗】

第56章 4月


4月


気づいたら年度が明けていた



というのも、クライアントの年度が変わるのは7月だから

3月も4月も、私にとってはいつも通りの1ヶ月。





ただ、社内は年度末の慌ただしさと

年度始めの異動やら新入社員の入社やら



まわりがバタバタしているのを眺めながら

一人だけ "いつも通り" を過ごしていた。





師走には自分一人だけ

時間のスピードが違うことに違和感を抱き、


なんなら季節柄の孤独ささえ感じてしまったけれど



だけど、そういうのにもなんとなく慣れた。





というのも、周年企画の準備も順調に進んでいて


ありがたいことに、充実した日々を過ごさせていただいております。





ただ



私以外の周りの環境が変わったのをきっかけに


私も一緒に心機一転



胸元まであった髪の毛を、久しぶりにバッサリ切った。





心機一転


気分転換




もちろんそれも。





ただ、特に社会人になってから

髪の毛を短くしなかった理由は



"いつでも結婚式で髪を結えるように"





そりゃーさぁ。



何年も付き合って

ケンカをするわけでもないし。



それこそすでに、お互い家族みたいな存在で



そのうちプロポーズされて

結婚式を挙げるんだろうなぁ、と。



その時、ちゃんと

結えるように。





だけど、とりあえず



その予定はなくなって。




なんならもう

私には縁のないイベントかも。





だからこの新年度の雰囲気とあわせて


今がタイミングだ、って




鏡に映る自分はまだ見慣れなくて

まだ少しこそばゆい感じがする。




そして、久しぶりに首元があいて

まだ、冷たい春の風が通り過ぎるのが慣れないけど




だけどなんだかスッキリとして



背筋が伸びるような





そんな気持ちになった。
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