第53章 12月.2
例年通り
12月になると社内の忙しさが増しているのを、肌で感じる。
ただ、一部例外もあり、
今年は私がその例外に当てはまっているから
なんとなく違和感。
残業がないわけではないけど、
だけど良くも悪くもいつも通り。
いつも通りの業務をこなして
たまのイレギュラーを対応して。
ずーっと自分一人でやっているから、
誰かの仕事を引き受けることもないし。
「お疲れ様でした」
20時
なんとなく一人だけ早く帰り過ぎるのも気が引けて、
………本当はもう少し早く帰れたんだけど
よくないけど、ちょっとゆっくり目に仕事をしたりして。
それでもまだフロアには沢山の人が残っている中、
やることがなくなった私は、挨拶をして一人フロアを出る。
駅に向かう通りには
例年通り、イルミネーションで綺麗に彩られていて
ただ、いつもと違うのは私の心境。
今までは単純に「綺麗だな~!」って
心癒されてだんだけど。
いや、今年ももちろん綺麗なんだけど。
ただ、初めて
ポツンと、
一人取り残されたような孤独を感じてしまっている。
…………ダメだ
道ゆく人は、別にカップルばかりではないし
むしろ私みたいに仕事帰りだろう、
一人足早に通り過ぎていく人の方が多い。
別に、自分だけが一人なわけじゃないのに。
だけど、寂しい。