第43章 8月31日
ひとりじゃないと思ったら安心したのか
その後は驚くくらい、スッと眠りについた。
朝起きたらアキくんは床で寝ていて
起こさないように
缶やゴミを片付けて
そっと、部屋を出た。
そして黒尾さんから
【実家どう?】
って
メッセージが届いていた。
本当はもう、返事をするつもりはなかったけど
嘘をついてしまった罪悪感から
【用事は済んだので、今日はゆっくりします】
とだけ。
ただ、また嘘を重ねた返信をした。
あれから2週間
最初の頃、黒尾さんから連絡は来ていたけど、
あれ以降、返信せずに過ごした。
電話にも出なかった。
だから、この1週間は連絡すらこなくなった。
本当はもっと、早く
"別れましょう"
と。
言わなきゃいけないと思ってたし、
思ってる。
だから何度も何度も文章を打ち込んで
だけど、送信ボタンは押せないまま。
………ただ、今日で8月も終わる。
嫌な仕事は翌月に持ち越してはいけない。
月末の報告書をまとめて、
来月の準備をして
挨拶をして、退社する。
月末はみんな忙しいから、
まだ残っている人も多い。
ただ、お陰様で
まだ19時だけど、帰ることができる。
この1ヶ月もよく頑張りました。
だいぶん要領がわかってきました。
本当に、よく頑張りました。
お疲れ、私。
……………はぁ。
明日から、9月
嫌なことは、8月に置いていこう。