第39章 8月
同期研修の日、さおりから黒尾さんのことを聞いたけど、
そのことを黒尾さん自身に聞くことはできなくて。
そして何事もないように
おはよう。とか
おやすみ。とか
お疲れ。って。
今までと変わらずに連絡をくれる黒尾さんにモヤモヤしながら
あっという間に1週間が経った。
今日は久しぶりにアキくんと会う日。
半年ぶりくらい?
アキくんに飲みに行こうって誘われた。
最近は疲れすぎて
全てのお誘いを断ってきてたけど、
今のこのモヤモヤとした気持ちを
どうしても誰かに聞いてほしくて。
そんな中で、たまたま連絡をくれたアキくん。
つまんない話を聞かされることになるけど、
諦めて相手してね。って心の中で思いながら
金曜日にって約束をした。
ただ、19時くらいに上がりたいな~って思ってたんだけど、
終わりそうにない。
……………はぁ
しょうがないから、別の日に変えてもらおう。
【お疲れ様です。ごめん。今日19時に上がれなさそう。
また別の日にしてもいい?】
【お疲れ。何時くらいになりそう?】
【んー。21時とか?】
【俺も仕事あるし、奈々が終わる時間に合わせるよ。どう?】
まじで?
【え、まじで?ありがとう。じゃあ、お言葉に甘えて。
万が一21時過ぎそうだったら早めに連絡します。】
【うん。よろしく。
あ、あと俺がそっちまで行くわ。】
【ありがとう。よろしくお願いします。】
普段なら申し訳ないからって断っていたけど
とにかくこのモヤモヤを吐き出したくて。
あと、アキくんだったから。
私が甘えることができる、数少ない友人?
…………お兄ちゃん?
かな?
まぁいいや。
とりあえず、何がなんでも21時までには終わらせようと決めた。