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【ハイキュー】思い出すのは、いつも【黒尾鉄朗】

第37章 7月(会議室で)


フッと




気配がしたかと思うと





「はぁ、はぁ………

遅くなってごめんな」





走ってきてくれたのか、息を切らした黒尾さんが

大きな手で背中をさすってくれて





「立てる?」





声を出そうとすると、嗚咽が漏れてしまうから


小さく一つ、首を縦に振る。




黒尾さんに支えられながら会議室に入って



ガチャリとドアが閉まると同時に



黒尾さんに抱きしめられた。





ふわりと



1ヶ月ぶりに黒尾さんの香りに包まれる。




同じ香水なんだけど



だけど違う。




黒尾さんの香りに、また涙が溢れる。





「ごめんな………」





なんで黒尾さんが謝るんですか?



って


言いたいのに。




出てくるのは涙ばかりで、


声が、出せない。





「お前がこんなにしんどいのに、何もしてあげられてない」





そんなことないです。


明日一緒にいてくれたら、それだけで十分です。





でもやっぱり


言葉で出てこない。




そんな、ただただ泣く私を、


抱きしめながら、優しく背中をさすってくれて。



少しずつ、落ち着いてくる。





「………黒尾さん、ごめんなさい」



「謝ることなんて何もないよ」



「………すみません」



「だーかーら?」





そう言いながら、ずっと下を向いていた

私のぐちゃぐちゃの顔を持ち上げられて



1ヶ月ぶりに

黒尾さんと目が合う。





「………ありがとう、ございます」



「んーん。何の役にも立てないけどな。

ただ、何があった?」





そうだった。




今までのことは何となく伝えてきた。



ただ、その時間すら取れなくて


掻い摘んで、状況を説明する。





「………そっか。課長は?」



「あの人は、実務に関してはノータッチなんで」
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