第22章 バレンタイン(当日)
「あーもう。慣れねーなァ」
たくさんのキスが降ってきて。
「こんな天気がいい日だから、なんだかイケナイコト
してる気分です」
ほんとに外はいい天気。
「イケナイコト、なの?」
「………違いました」
昨日と同じ会話。
話す言葉は逆だけど。
それに、同じタイミングでフッと笑うこの瞬間も好き。
ただ、そうじゃないって言ったけど
ベッドじゃないのは、やっぱりそんな気分。
ただ、黒尾さんからの刺激に、
そんなこともすぐに忘れちゃう。
「ねぇ、今日ってバレンタインでしょ?」
「そう………、ですね?」
「俺の名前、知ってる?」
「………知って、ます」
黒尾さんからの刺激はそのまま。
「名前、呼んで?」
……………。
「お願い。呼んで?」
耳元で
それすら刺激になって、身体が反応する。
そんな顔で、そんな風にお願いされたら。
「……てつろう、さん」
「もう一回」
「鉄朗さん」
「………ごめん。今日優しくできないかも」
そのあと宣言通り?
いつもとは違う黒尾さんで、
なんだか余裕がない黒尾さんに、かなりときめいてしまったんだけど。
ただ、これからも黒尾さんのことを名前で呼ぶっていうのは
やっぱりちょっと恥ずかしくて。
難しそうですね。ウン。