【FF15】 同じ夢を、あなたと (イグニス・R18)
第19章 未来の王と、その軍師
「マジかよ…敵わねーな…。
オレ、アイツに拗らせてるとかヒドイこと言っちまった…あとでもう一回ちゃんと謝んねーと…」
「拗らせ…か。
そうなった理由の一部はオレのせいもあるかもしれないな…」
この瞬間、綺麗に整えられたノクトの眉がぴくりと跳ね上がるのがよく見えた。
「はぁ? どーゆーことだよ?」
「本人にちゃんと聞いた訳ではないが…、異性として好きになったのはおそらくオレが先だ。
まだ小学生の頃だから、随分昔のことになるな。
ただ、その頃のオレはそれこそまだ覚悟がなくて…
王子の側近という立場でありながら、王女の人生に影響を与えるような特別な感情を持つなど不適切だし、分不相応だと思ったんだ。
それで、グレイスが小学四年生の頃に、互いの立場や関係性を理由にオレでは力不足だ、ふさわしくない、
ノクトやグレイスが王子・王女として真っ直ぐ成長するのを助け、見届けるのがオレの役目で、オレの立場はそれ以上にもそれ以下にでもなれるものじゃない、と伝えたんだ」
「うっわお前そんなこと言ったのかよ」
昔話を一息に語れば、目の前のノクトの顔が呆れたような、不満そうな、そんな感情を目一杯映し出したものに見る見る変わっていった。
その表情と、己の愚行に対する後悔で一瞬苦笑いがこみ上げたのを感じつつ、話を続ける。
「まぁな…その時はそうするのが最善だと思ったんだ。
その後も、時々グレイスからオレのことを異性として意識してくれていると感じたことはあったが、オレはその期待や可能性を全て否定して、グレイスにはずっと『妹として大切だ』と言葉に出し続けてきたんだ。
そんな刷り込みみたいな積み重ねのせいもあって、オレと一緒に過ごす選択肢を想像出来ないのかもしれないな」