第9章 play 7 ※
驚いたチサトはドアを開け
カヲルを招き入れた
『……どうしたんですか…』
「…………体調は…どう…?」
『……ぁ…』
チサトはアリスとの事を一部始終カヲルに説明した
『………断って…あの部屋に入るのも変だと思って……言う通りにしてしまいました…』
「……そんな事が………彼女も困った人だ…」
呆れ顔のカヲルを見上げて
チサトが言った
『…………カヲルさん………私の事…心配して来てくれたんですか…?』
「………ぇ……………ぁ…………昼間は元気そうだったから……どうしたのかと思って………………明日も……撮影の続きがまだあるし……」
『……』
「………それで………まぁ………………心配だった……」
照れ臭そうに苦笑いするカヲルに
チサトは抱きついた
胸が苦しくなって
涙が溢れた
小さく震える肩に気付いて
カヲルは身体を離した
「……どうした…?」
『………すみません…………私……嬉しくて……』
チサトはそう言うと
慌てて涙を拭った
『………分かってます…………カヲルさんは…私を憐れんで優しくしてくれてるだけですよね………それでも…嬉しいんです……』
「……チサト…」
『……ぁ……勝手に好きになってるだけなんで…気にしないでください…………フッ………大丈夫です……カヲルさんも同じように想って欲しいなんて…言いませんから…………ただ……』
「……」
『…………たまに………こんな風に…気持ちがあふれてきちゃうんです…』
チサトの瞳から
大粒の涙がポロポロとこぼれ落ちた
『………ゴメ……なさ…………すぐに…おさまりますから…』