第5章 開会式
話は盛り上がり、はすっかりローズに呼び出せれていることを忘れた。キバナもカブも同じく忘れており、三人はいろんな話をした。
ちょうどエンジンシティにできた新しいカフェの話になった時、キバナは「あ」と思い出した様に声をこぼした。
その声にとカブの視線はキバナに向いた。
「カフェっつったら、お前この間俺の飯奢っていきやがったな」
恨めしそうにキバナはをジロリと見た。
はなんのことだろうと首を傾げたが、すぐにあの時の出来事を思い出した。
「へ?…あ、あ〜!ありましたね、そんなこと」
「そんなことじゃねー。普通は男の俺さまが払うもんだろ」
「ええぇ…それは、あの、あれですよ。その一応私…キバ……さの…ファ…ですし…///」
は歯切れ悪く、途中から声も小さくなった。
しかしキバナはが何を言ったか大体わかっていたが、少しいじめてやろうと、意地悪くカブを仲間にしようとカブに話しかけた。
「声ちっさ。カブさんも聞こえなかったよな?」
「え?ああ、そうだね。さん、さっき何を言ったんだい?」
「〜っ/// 大したことじゃないので!(カブさんからの追撃だとぉ?!)」
「ほらほら言っちまえ」
「ううううっ///!!!ファンだって言ったんです!キバナ様の!ファンとして一緒にランチいけたらそりゃ嬉しいじゃないですかぁ///!!勝手に奢られといてくだひゃいっ!!!」
(噛んだ!)
は顔が真っ赤にかせながらヤケクソに言い放ち、噛んだこともありますます恥ずかしくなり、両手で顔を覆い、その場に蹲み込んだ。
(恥ずい恥ずい恥ずい///!!!)
蹲み込んで小さくなったの頭を、上から見下げたキバナが口元を押さえて笑いを堪えていた。その様子をジーっとカブは咎める様に見た。
「キバナ君…」
「ごめ、カブさん…ぶふっ、だって奢られとけって…」
「…」
「いや、本当にごめんカブさん。睨まないで…」
カブは無言で睨む様にキバナを見ると、さすがのキバナもカブがふざけていいところじゃないとわかり、笑うのをやめた。
そして足元で小さくなっているの前に、自分も蹲み込んだ。