第4章 新たな門出
「母さんに君の分のご飯も用意してもらってあるから行こう」
そう言ったダンデはベットから立ち上がり、当然のように差し出された手には遠慮したい気持ちになった。それでも少し動けば痛む背中とお腹のことを思えば、ダンデの手は救いの神に見えた。
最初は遠慮したが、引かないダンデには「じゃあ・・・」とまたダンデの手にちょこんと自分の手を乗せた。
(また手を借りてしまった・・・本当にダンデ様様だよ)
ベットから降りようとすると、また背中とお腹に痛みが走り、は顔を少ししかめながらなんとか立ち上がることができた。
「手伝ってくれてありがとうございます」
「お互い困ったときは助け合うものさ」
(うっ!笑顔が!!眩しい!!!)
ダンデがニコリと笑うと、見えるはずもない後光が見え、は目を細めた。
(介護職も悪くなさそうだけど、みんな極楽浄土に昇天しそうでダメだな。やっぱりチャンピオンが天職なんだなー・・・ん?)
と、はダンデを見てこっそりそう思った。
そしてある疑問が頭に浮かんで、は思わずダンデに質問してしまった。
「ダンデさんって、もしチャンピオン以外になれるなら、何になりたいですか?」
「チャピオン以外に?」
「はい」
「はは、そんなこと初めて聞かれたな」
親指と人差し指を伸ばして、そうだな・・・と言葉を零しながら、ダンデは思案した。しばらく考える素振りを見せるダンデを、は少しワクワクしながら答えを待った。
「・・・やっぱり俺はバトルが好きだ。だから、それに関われることがしたいな」
(大丈夫ですよ、未来のバトルタワーのオーナーになれるから・・・)
「君は?」
「え、私ですか?」
「ああ、君はずっと旅をしてきたと話していた。君はもし旅以外をするなら、何がしたいんだ?」
「えっと・・・(まさかの質問返し?!)」
まさかダンデから聞き返されるとは思わず、は必死に考え出した。
(えーわかんないよー!ゲームの世界といえど聖地巡礼は最高に楽しかったし、ポケモンたちとずっと一緒に過ごせて幸せだし・・・)
は視線を宙に這わせ、うーんと声を零して考えを巡らせた。