第17章 始まりの一歩
キバナが部屋から出て行った後も、はまだ泣き止んでいなかった。
「うぅっ、本当に、ごめんなざいいいいい」
堰を切ったように涙が溢れ、部屋に残ったダンデ、ヤロー、ルリナに平謝りしていた。
「俺もルリナさんも大丈夫なんだな」
「ほら、もう泣かないで。本当に枯れちゃうわ」
「でも゛」
ルリナは仮眠室に用意されていたタオルをに手渡すと、は戸惑いながらも空いている手で受け取り、タオルを目元に当てて涙を吸い取った。
「--私たちより、あなたはどうなの?」と、ルリナが聞くと、は少し考えるそぶりを見せた。
「…特に…どこも…」
痛みはどこにもない----ないのだが----左手からジワジワと伝わる熱が主張しているようで、ジワジワとの意識を正常に戻していく。
「本当にどこも痛くないか?」
顔を上げると、心配そうなダンデがをジッと見つめていた。その視線の先が、首元に見え隠れしている歯形を指しているのか、にはわからなかったが、ようやく口角が少し上がった。
「大丈夫です。ダンデさんが思ってるようなことは、あの後なかったですから」
「ッ…そ、そうか!」
「「?」」
何の話をしているのかわからないと、ルリナとヤローが首を傾げた。
「でも…ダンデさんには、また助けられちゃいましたね…」
「たまたま居合わせただけだ…だけど、それが俺でよかったと思ってる」
「そっ…そう、ですか…」
ダンデに優しく微笑まれ、は顔をぎこちなく元に戻した。
(----というか、いつまで手を握られてるんだろ…ちょっと恥ずかしくなってきた…///)
自分から手を重ねてしまった手前、離すのも憚られる。かと言って、抜け出すには少し力が入りそうなほど、ダンデの手にも力が込められている。ヤローとルリナも微笑ましそうな顔をしていて、はますますいたたまれなくなる。
(何この空間!なんで微笑まれてるの!?私なんかやらかした!!!?)