第17章 始まりの一歩
「コイツにとって、あのは受け入れられないことは、お前も知ってるだろ。誰にだって知られたくねぇことの一つや二つあるからな。一瞬意識が戻った時も…」
悲痛な謝罪の声が、今でも思い出す度に胸が締め付けられるように痛んだ。
「今はダメでも、なら乗り越えられる」
ダンデは優しい眼差しでを見つめた。
「ジム巡りもチャンピオンカップでも、彼女は自分の足でやってきた。取り戻そうと踏ん張ってきたんだ。彼女なら、また立ち上がれる」
決勝戦の前夜、は確かにダンデの手を取り、立ち上がった。だからダンデは確信していた。きっとはまた立ち上がると。
「それに、は君によく似ている」
「----は?」
マメパトが豆鉄砲を喰らったような、キバナは目を丸くした。
「…ちなみに、どこが?」
「諦めの悪いところだ」
「それ、結構いろんな奴に当てはまらねぇか?」と、キバナは呆れて言葉にできなかった。
(それってバトルでの時のことか?それとも別のことか…?いい意味で言ったんだよな?)
しばらくキバナはこのことで悩むことになったが、それはまた別のお話。
「とりあえず、が起きた時のことを考えませんか?起きたらまた、取り乱す可能性はあります」
ルリナはキッパリと話し出した。
「逃げるためなら結構無茶するからな、コイツ…」
キバナは昨夜の城からの飛び降り、そして街中でのポケモンに乗ってでの追いかけっこを思い出した。
「こんな小さい体のどこに、あんなパワー秘めてんだか」
「ますます興味が湧くだろ!」と、ダンデは楽しそうにキバナに向かって言った。目が少年のようにキラキラしていた。
「----で、とりあえずコイツが起きたと仮定して、オレさまたちがどうするかってことだが」
話が進まないと分かったキバナは、ダンデを無視して話を進めた。
「泣いてパニックになるだろうってことで----」
「あ、目が空いたんじゃ」
「は?」
ヤローの一言で、みんなはを見た。起きたばかりのせいか、虚な目クォしているは、何回も瞬きをした。
「おはよう、。具合はどうだ?」
一番近くにいたダンデが、すぐに声をかけた。